金融サービスにおけるグローバル規模のデジタル変革
ユースケースの展開効率 10 倍で市場投入が迅速化
100 件以上のユースケースを今後 1 年間で展開
500 名以上の BI/IT ユーザーが連携
オランダ金融大手の ABN アムロでは、業務のモダナイズを目指すなか、従来型のインフラやデータウェアハウスによるデータソースへのアクセスの複雑化、非効率的なデータプロセスやワークフローが課題となっていました。ABN アムロは、これらの課題を解決すべく、Azure Databricks を導入。その結果、データと AI の民主化が加速し、500 名を超えるデータエンジニア、サイエンティスト、アナリストの連携が可能になり、全社的な業務の改善、新たな市場への参入が実現しています。
新たな目標を阻害する陳腐化したテクノロジー
ABN アムロは、オランダ第 3 位の銀行に成長し、数百の多様なデータソースから数百テラバイトのデータを豊富に生成していました。しかし、データを効果的に活用、分析できておらず、目指すデータドリブンな運営にはほど遠い状況でした。オンプレミスに集約されたデータウェアハウスや非効率的なワークフローが障壁となり、データを最大限に活用できるデジタルバンクへの変革には課題がありました。
ABN アムロのアナリティクス・エンジニアリング部門責任者のステファン・グロート(Stefan Groot)氏は、次のように述べています。「目の前の機会を生かすためには、データをフル活用し、今までの手法を刷新する必要がありました。私たちの組織では、多様なチームが孤立して業務を遂行しており、真のコラボレーションやベストプラクティスの共有はありませんでした。コミュニケーションはあったものの、データを中心とした統一性はなく、極めて非効率でした。」
グロート氏は、従来のビッグデータウェアハウスから、ドメインドリブンなレイクハウスやデータメッシュへの移行が重要だと考えていました。実績のある標準化されたプラットフォームを使用することで、ドメインを超えたデータ作成およびデータ処理が可能になるからです。
また、数百人のデータの専門家が連携し、データの気づきをシームレスに共有してビジネス目標をサポートする「インナーソース」のカルチャーも構想していました。
運用の刷新—あらゆるデータを分析に活用
ABN アムロは、データドリブンな組織を目指し、使いやすさとスケーラビリティを求め、Azure クラウドに移行。数か月でデータブリックスのレイクハウスプラットフォームを運用できるようになりました。ABN アムロでは、データブリックスのデータドリブンなソリューションを導入することでイノベーションが加速。戦略的な意思決定、運用効率、サイバーセキュリティ、全体的な顧客エクスペリエンスの向上を実現しています。
データブリックスは、複数のデータソースへのアクセスを容易にし、あらゆる規模のインフラ管理をシンプルにします。ABN アムロでは、Delta Lake を活用して、高速で信頼性の高いデータパイプラインを構築しています。これは、分析において極めて重要であり、意思決定や分析、モデルのトレーニングのために完全で正確なデータに依存しているデータサイエンス部門にとって不可欠です。
ABN アムロのデータアナリストは、PowerBI で簡単に分析を行い、データを変換してビジネスレポートやダッシュボードに反映させることができるようになりました。
また、データサイエンティストや機械学習エンジニアは、MLflow でモデルを本番環境に容易に展開できます。かつての分断された非効率的な手動のプロセスは、今では自動化され、一貫性を備えています。
データを行動につなげる—バンキングにおける大規模な DX
ABN アムロでは、データブリックスを活用して、新たなマーケティングオートメーションのスタックなど、顧客の志向に迅速に対応できるようになりました。関連製品のレコメンデーション、関連サービスの提供により、顧客満足度の向上、顧客離脱の防止が実現しています。
銀行にとって重要な課題である不正検知も強化しています。機械学習を利用して、異常行動を検出し、世界中のテロ組織の資金源の一般的な手段となっているマネーロンダリングなどの不正行為を防止しています。
ビジネスオペレーションにおいても、データと AI は効果を発揮しています。データブリックスは、顧客サポートの面では、顧客のダッシュボードを強化し、顧客、該当アセットおよび取引の全体像をほぼリアルタイムで表示します。これにより、ヘルプデスクやサポートチームは必要な気づきを使いやすい形式で取得でき、顧客へのサービス向上につなげることができます。さらに、各サポート担当者のコール数をモニタリングし、効率性の改善やオペレーションコストの削減に役立てています。
データドリブン、迅速、高コスト効率
ABN アムロはデータ戦略の転換に成功しています。かつて課題であったテクノロジーが、今は成功要因となっています。ABN アムロのデータチームは、このパラダイムシフト により、従来のインフラと比較して 10 倍のスピードで数十件のユースケースを展開しました。変革はこれにとどまりません。グロート氏は次のように述べています。「この時点で展開したユースケースは、ロードマップ上の全ユースケースの 5% 程度です。今後数か月の間に、さらに 100 以上のユースケースの展開と、新たな機械学習モデルの追加を予定しています。」
最も重要なことは、会社の成長とともに、データチームの能力が向上し、ビジネスを成長させ、サポートできるようになったことです。ABN アムロのソリューションアーキテクトであるステファン・ブーム(Stefan Boom)氏は、次のように述べています。「私たちは、アジャイルな組織になっています。以前は実現しようのないこともありましたが、今では柔軟性と能力を備え、あらゆることに対応できます。」
データブリックスは、データドリブンな意思決定において極めて重要な役割を果たしています。ABN アムロでは、データブリックスを利用して、データエンジニアリング、分析、データサイエンス、ビジネスなど、500 名以上のチームメンバーがデータを活用して実験を行い、組織全体でユースケースを実現するソリューションを構築できるようになりました。
グロート氏は、来年にはロードマップに 100 以上のユースケースが追加され、モデルが飛躍的に向上すると展望しています。テクノロジースタック、組織構造とプロセス、コラボレーションカルチャーが整った今、ABN アムロでは、焦点を転換し、エンタープライズ全体の価値創造を加速することができます。