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導入事例

顧客体験のパーソナライズで理想のドラッグストアを実現

1.6%

服薬アドヒアランス
(用法・用量の遵守)が向上

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プラットフォーム・ユースケース: Delta Lake,機械学習,ETL
クラウド: Azure

「データブリックスの導入によってお客様の行動予測が可能になり、一人一人のお客様に対するオファーにおいて、より関係性の深いパーソナライズができるようになりました。」

CVS ヘルス
シニア分析アドバイザー ラグー・ナッカ氏

米ドラッグストア大手 CVS ヘルスが運営するドラッグストアは、1 日当たり 8 千万人の顧客に利用されており、CVS ヘルスでは、顧客とのやり取りの内容が顧客の健康増進につながる有意義なものになるよう努めています。CVS ヘルスでは、2018 年に、Hadoop 環境で機械学習を利用した顧客向けパーソナライゼーションに着手しました。しかし、複雑で大規模なデータセットに対応できず、多数のマイクロセグメントから顧客行動を把握することは困難でした。CVS ヘルスは、ビッグデータ活用のための解決策としてデータブリックスを採用しました。その結果、顧客データの分析に成功し、新たな顧客エクスペリエンスの提供に向けた実験やサービスの開発、顧客のセグメンテーションを実施。大規模なパーソナライゼーションが可能になりました。

多様で予測困難な顧客行動の分析

CVS ヘルスは 2018 年、パーソナライゼーションをビジネスの中心に据える方針を固めました。しかし、全米各地に展開する 1 万店余りの店舗数と、行動の予測が困難なマイクロセグメントの多さにより、当初目標としていた顧客向けパーソナライゼーションは実現できませんでした。

CVS ヘルスのシニア分析アドバイザーであるラグー・ナッカ(Raghu Nakka)氏は、次のように述べています。

「私たちの顧客の行動には、一般の食料品スーパーの顧客の行動と比べて違いがあり、正確な予測は極めて困難です。例えば、顧客は、買い忘れた牛乳を購入する目的のためにコンビニエンスストアを訪れる場合があり、一方で、CVS のようなコンビニエンスストアで処方薬を受け取るついでにお菓子を購入する場合もあります。行動予測の判断材料は、必ずしも当てまるとは限りません。データの多次元性は、あらゆる種類の機械学習モデルのオーバーフィッティングの問題を引き起こす原因となります。」

CVS ヘルスは当初、Hadoop を利用してパーソナライゼーションに取り組みました。環境を構築し、数か月のうちに全体の 1% の顧客を対象とする初のパーソナライゼーションを立ち上げましたが、規模を 1% から 5% に拡大しようとした際に、処理能力と物理的なデータストレージが不十分なことが障壁となり、実現に至りませんでした。CVS ヘルスのエンタープライズ分析担当ディレクターであるミシェル・ウン(Michelle Un)氏は、次のようにコメントしています。「目指していた規模を達成するにはハードウェアの増設が必要でしたが、それは現実的に困難でした。」

目標としたパーソナライゼーションを実現するにはさらに堅牢なプラットフォームを要することが判明し、CVS ヘルスの担当部門は目標を見直して解決方法の策定に着手しました。CVS ヘルスの選択基準について、ラグー氏は次のように述べています。

「テキストメッセージ、電話、店舗での提案など、お客様が好ましい反応を示す可能性の高い方法を知りたかったのです。それにはプロセスの最適化が重要でした。また、タイミングも同じくらい重要でした。例えば、あるお客様が処方箋の期限延長を求めているとします。そのような状況は、調剤が完了したタイミングよりも、オファーを送信するのによいタイミングだということになります。」

クラウドベースの環境による大規模なパーソナライゼーション

CVS ヘルスは、Azure Databricks を利用するクラウドベースの環境への移行を決断・実行しました。対応可能なユースケース数を増やし、さらに、顧客にパーソナライズされた提案を提供する規模にまでスケーリングできるようになりました。

「Azure Databricks によって、CVS 特有のビジネスニーズや多様なユースケースに適合するクラスタをスピンアップする柔軟性が備わり、ハードウェアの物理的な制約に縛られることがなくなりました。」(ミシェル・ウン氏)

CVS ヘルスでは、データブリックスの導入によって俊敏性が高まり、実験用フレームワークの構築とテストにも注力できるようになりました。高速なイテレーションが可能になったことで、機械学習の実用化が進んでいます。また、一元化されたアセットとインタラクティブな Notebook によって、データアクセスの制限やリソース集約型のパイプラインなど、分散したデータソースにまつわる数々の問題が解消しました。

さらに、データブリックスによる新たなコラボレーション環境が、データエンジニア、データサイエンティスト、データアナリストの連携を促進。データエンジニアリングによる高速データパイプラインの構築、データサイエンティストによる機械学習モデルの効率的なトレーニング、データアナリストによる Tableau を利用した財務・経営指標の視覚化というコラボレーションが、ビジネス上の意思決定を支えています。

コミュニケーションのパーソナライズで顧客の健康を支援

データブリックスの導入によって、CVS ヘルスは、顧客がどういう人なのか、今必要なものは何かを知ると同時に、特定の商品を購入する確率や、薬の受け取りについてのリマインダを患者に送るタイミングを予測し、さらには患者に生じうる潜在的な副作用まで特定できます。

「データブリックスの活用は、我々のビジネス戦略の中核となっています。行動予測を通じて、お客様にパーソナライズされた適切な提案ができるようになりました。」(ラグー氏)

CVS ヘルスにおいてパーソナライゼーションを推進した結果、服薬アドヒアランスが 1.6% 向上しました。これは服薬の意味・意義を理解して正しい服薬をする患者の数が増加したことを意味します。

データ分析の基盤としてデータブリックスを導入したことで、CVS ヘルスは、革新的な分析・機械学習モデルの活用を通じて実用的な気づきを得ることに成功し、長期的な視野で顧客・患者中心のヘルスケアを実践しています。

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CVS ヘルスでは、Tableau を活用して財務指標と運用指標を視覚化し、社内の意思決定に役立てています。現在、CVS ヘルスのデータ分析部門は、データブリックスによるさまざまなレポートやダッシュボードの情報を利用して調剤薬局・ドラッグストア業務を最適化し、患者エクスペリエンスの改善に努めています。