スペインのプロサッカーリーグ、ラ・リーガは、スポーツとエンターテイメントの世界を変えつつあります。スタジアムに設置された数百台のカメラから生成されたリアルタイムなストリーミングデータを利用し、これまでにない実用的なインサイトを得て、選手への指示、試合の戦略、観戦の方法に変革をもたらしました。これを可能にしているのが Databricks のデータインテリジェンスプラットフォームです。ラ・リーガでは、Databricks を活用してペタバイト規模の動画のストリームデータを処理し、試合中の情報分析をサポートし、試合中の選手のプレー内容の向上やファン体験のパーソナライズに役立つインサイトを抽出しています。リーグ内にいち早くイノベ ーションを浸透させたラ・リーガは、新たな事業体であるラ・リーガ・テック(LaLiga Tech)を設立し、データと AI の企業として、テクノロジーとノウハウを世界中のスポーツチームに提供しています。
リアルタイムデータによるインサイトをスポーツに
スポーツ業界では、データと分析を活用した運営が急速に普及しはじめています。分析結果を勝つための戦略に活かすことをはじめ、視聴率やブランドロイヤルティを高めるファン体験の提供など、目的は多岐にわたります。世界有数の視聴者数を誇るラ・リーガは、データと AI の活用をいち早く導入し、ファン体験を向上させています。
サッカーチームは従来、データを活用した意思決定に積極的に取り組んでいませんでした。しかし、ラ・リーガでは、試合中の情報を分析する手段をチームに提供し、これまでの状況を変えることをめざしてきました。リアルタイムデータを分析することで、選手の能力を最大限に引き出し、熱心なファンに最上の体験を提供する方法がわかります。データから取得したインサイトを深く理解することで、試合成績の改善や選手のケガの予防が可能になります。また、ファンが求める情報を正確に把握できるため、チームへのロイヤリティと収益が向上します。
ラ・リーガでは、数百台の高性能 HD カメラをスタジアムのいたるところに設置し、膨大なデジタル資産を構築しています。選手やボールの動きなど、1 試合あたりの撮影フレーム数は約 30 万に上り、ペタバイト規模のデータが日々生成されています。ラ・リーガでは、膨大な量の構造化・非構造化データの活用にあたり、大規模なリアルタイムデータの効率的な取り込みや、ビジネスにおける意思決定に役立つ実践的なインサイトの抽出に課題を抱えていました。
ラ・リーガ・テックのアーキテクチャ責任者であるギレルモ・ロルダン(Guillermo Roldán)氏は、次のように述べています。「データファーストの文化を構築するうえで、解決すべき課題を抱えていました。データを効率的に取り込むことができず、全てのデータを活用できませんでした。また、ビジネスにとってデータがいかに重要な資産であるかを経営陣に効果的に伝えて共感を得ることができていませんでした。膨大な量のデータの活用を可能にし、ミッションの遂行を支援するためのプラットフォームが必要でした。」
ラ・リーガは、Databricks の導入によってリアルタイムなインサイトを可能にし、スポーツに変革をもたらしています。
大規模なストリーミング分析
Databricks の導入によって課題が解決しました。Microsoft Azure 上の Databricks データインテリジェンスプラットフォームは、運用分析プラットフォームの基盤として機能し、ペタバイト規模の動画のストリーミングデータの取り込みをシンプルにし、ダウンストリームの分析とリアルタイムの機械学習を高速で行います。
Delta Lake は、分析と機械学習のためのあらゆるデータセットの統合・準備を可能にする共通のデータレイヤーを提供します。ラ・リーガは現在、費用対効果が高くスケーラブルなレイクハウスの基盤として、Delta Lake を使用しています。「ビジネスパートナーに対して常に正確な最新データを提供しなければ、インサイトに対する信頼が失われます。Delta Lake は、以前のインフラに欠けていた信頼性を提供してくれます。」(ロルダン氏)
データがシームレスに流れることで、「選手がゴールを決める可能性はどれくらいか」などのクリエイティブな予測が可能になります。また、Power BI を活用したレポートやダッシュボードにより、チームの運営と収益に影響する重要な意思決定における優れた判断が可能になります。MLflow では、フィールド上の選手やボールの動きをリアルタイムで追跡するなどの予測モデルの構築、トレーニング、デプロイメントが可能なため、試合中に選手のパフォーマンス、スピード、健康状態を分析し、その場でプレーに関する意思決定を行うことができます。ファン体験に関しては、Databricks を活用してファンの行動を分析することで、コンテンツ体験のパーソナライズを深化させ、さらに、ワールドクラスのエンターテイメントと eコマースの両方にデータを活用できるようになりました。
データドリブンなスポーツ新時代の幕開け
ラ・リーガは、サッカーリーグにおけるデータドリブンな機能を構築する基盤として Databricks を活用し、さらに、テクノロジーを世界中のスポーツおよびエンターテイメントの組織に広く提供することをめざしています。データと AI の活用基盤を構築するには、多大な時間とリソースの投資が必要です。しかし、多くの組織にはそのような余裕がありません。ラ・リーガ・テックの利用により、事業運営とパフォーマンスの最適化に役立つ最新の手法をわずかなコストで簡単に導入できます。ラ・リーガは、顧客リーチをグローバルに拡大しており、ラ・リーガ・テックの顧客数増大をはじめ、スポーツとエンターテイメントにもたらす可能性は無限大です。
「Databricks を導入したことで、以前は不可能だったことが容易にできるようになりました。ラ・リーガ・テックによって、スポーツ、エンターテイメントに関わるあらゆる組織がデータと AI を活用し、大切なファンに画期的な体験を提供できるようになりました。」(ロルダン氏)