金融サービスのパーソナライズ
金融サービスのパーソナライズとは
金融商品やサービスのコモディティ化が進み、メディアや小売業界がパーソナライズされた体験を好むようになったことで、消費者の目は肥えてきています。消費者から求められるものが日々変化していく中で、銀行がこれからも必要とされ続けるためには、パーソナライズされた知見やレコメンド、財務目標の設定、レポート機能といった従来の銀行業務を超えた魅力的な銀行体験を提供する必要があり、これらは全て地理空間や自然言語処理(NLP)などの高度な分析機能によって実現されます。金融サービスのパーソナライズは、オープンファイナンスとも呼ばれ、データ共有の原則に基づき、銀行が顧客のニーズに特化した幅広い可能性を提供できるようにするものです。金融サービスのパーソナライズは、オープンバンキング(次節参照)の標準採用と、世界中で変わり続ける規制によって実現されます。
金融サービスのパーソナライズの実例
今日のオンデマンドカルチャーにおいて、金融サービスのパーソナライズとは、顧客が利用する銀行、保険会社、資産管理の機能が、使用している製品やチャネルに応じて適切に活用できることを意味します。例えば、Buy Now Pay Later(BNPL)と呼ばれる後払い決済サービスは、小売店でショッピングをする際、支払い方法の選択肢の 1 つとして利用できるようになります。他にも、利用している銀行アプリに他行の口座を追加して、1 つの銀行アプリで保有する全ての口座情報を一度に確認できる機能や、投資アプリに銀行口座を追加して今月の投資可能額を確認できるといった機能があります。これらは、消費者が経済的な豊かさをよりコントロールできるようにする金融サービスのパーソナライズの一例です。もう 1 つの例として、スペインの BBVA 銀行の最近のブログ 1 をご紹介します。このブログでは、同銀行がデータサイエンスを活用し、事前に利用者の同意を得たうえで利用者の特徴を特定・分析することで 、日常の財務管理、負債の軽減、将来に向けた貯蓄計画などの方法についてより良い提案ができるようになったことが詳しく説明されています。
金融サービスのパーソナライズが重要な理由
一般的に、顧客は、より多くの選択肢や柔軟性、シームレスな顧客体験を求めています。結果として、口座残高やクレジットカードの利用残高だけでなく、資産や経済的な目標についてより多くの情報を得たうえで意思決定ができるというような、個人の財務に関する情報へのアクセスを望む顧客が増えています。それと同時に、自分の投資姿勢や嗜好に沿うパーソナライズされた提案を期待しています。
・72% 以上の顧客が、今日の金融サービスにおいて、パーソナライズ化は「非常に重要」であると回答しています。
・60% 以上の消費者が、パーソナライズされたショッピング体験は、次回の購買に繋がる可能性があると回答しています。
金融サービス機関において金融サービスをパーソナライズするメリット
- 顧客のニーズや行動にあわせた顧客体験の提供により、顧客のロイヤリティと継続率を促進します。
- エンゲージメントとコンバージョン率の向上により、顧客内シェアの拡大と顧客生涯価値(LTV:Lifetime Value)の向上を実現します。
- ターゲットを絞ったマーケティングキャンペーンと各チャネルでの一貫したメッセージ配信により、企業のマーケティング活動における投資利益率(ROI)を強化します。
パーソナライズされた金融サービスを導入する際の課題
レガシーなインフ ラストラクチャ:従来のテクノロジーでは、急増する非構造化データやオルタナティブデータから知見を得ることができません。また、コラボレーションを促進するオープンなデータ共有機能は提供されません。
データおよび個人情報保護に対する厳しい規制:データ漏えいや情報漏えいが数多く発生したため、多くの消費者が個人情報の共有に慎重になっています。
サードパーティデータの利用:ベンダーロックインや相互連携が不可能なツールがリアルタイム分析を困難にし、金融に関するスマートな意思決定の促進や民主化を妨げています。
データのサイロ化:複雑なワークフローの採用や異なるテクノロジーの活用、スプレッドシート文化の拡大は、コラボレーションを困難にし、複数部門にわたるデータのサイロ化が起こる原因となっています。
Databricks を活用した金融サービスのパーソナライズ
Databricks が提供する金融サービス向けレイクハウスは、データと AI をオープンでコラボレーション可能なプラットフォーム上で統合し、銀行、保険、資本市場企業に対してパーソナライズされた顧客体験の提供や、リスクの最小化、イノベーションの促進の実現を支援します。従来のシステムにあった技術的な制約が排除されるため、金融サービス機関は、リスクを最小限に抑えながらあらゆるデータを活用し、イノベーションを加速できます。さらに、金融サービス機関は、市場やオルタナティブデータなどの多様なデータを集約して、高度にパーソナライズされた顧客体験を提供できます。その結果、クロスセルの機会創出、顧客満足度の向 上、顧客内シェアの促進が可能になります。データと AI を統合することで、データの取得、処理、移管がセキュアに効率化し、優れたデータガバナンスを実践できるようになります。これにより、複雑な規制当局への報告やリスク管理、コンプライアンスが簡素化されます。